消防士の仕事について

消防士の仕事に関する事を書いています

トンネルで火災が起こったら

   


トンネル内で火災が起こるとどうなるでしょうか。
1979年の東名高速道路日本坂トンネル火災では


自動車が次々に衝突して炎上。後続で立ち往生した
車にも燃え広がり、消防隊も進入できませんでした。


この火災は、自動車189台を焼失、死者7人を
出すという、長大自動車トンネル火災の恐ろしさを


強く印象づけるショッキングな事故でした。
一般に、トンネル内の火災は、煙と熱気が抜けずに

 

充満しやすく、出入り口も限られるなど、
避難・消火活動ともに非常に困難で、
おもわぬ大惨事になりがちです。


トンネルはもともとコンクリートの筒で飾りもなく
それ自体は燃えません。


そこで、鉄道トンネルの火災対策としては、
車両の不燃・難燃化が効果的です。


特に、地下鉄車両はこの対策が徹底していて
地下鉄車両では、火災が燃え広がることはまず、
ありません。


また、車両ごとの防火区画化も採用され、
火災が発生しても一つの車両でおさまるように


なっていまして、出火車両以外へ避難すれば
まず安心でしょう。


こうしたこともあり、今ではトンネル内で火災が
起こっても列車は停車せず、トンネルの外、


地下鉄の場合は次の駅まで疾走することになっています。
もちろん、万一停車した場合の避難に備えて、


長大トンネルでは、非常用照明・歩行路などがあります。
さらに、地下鉄の駅についてはその不燃化を図る


とともに、スプリンクラ―や無線設備などの
消防用設備を設置しているほか、トンネル内にも


排煙設備や消火設備などが設置されています。


ただし、避難する際には、動力電源が線路のすぐ横に
あることに注意しなければなりません。


火事だからといってあわてて車外にでないで
乗務員の指示に従うことですね。
 
一方、トンネルですが、車は燃料としてガソリンや
軽油を大量に積んでいるため、事故が起これば


容易に出火し、次々と燃え広がる恐れがあります。
燃料タンクの安全については研究が進められています


が、完全な不燃化は今のところ無理なようです。
トンネルの安全対策としましては、トンネルの長さ


通行車両数に応じて必要な防災設備を設置する
ことになっています。


このほか、後続車がトンネルに進入しないよう、
進入禁止の表示板と警報が入り口に表示されたり、


トンネルの途中から外部へ出られる避難通路が
設けられたりしています。


自動車の衝突事故によります火災をなくすには、
まず、交通事故を起こさないように運転するのが


一番の安全対策です。


それでも運悪く事故に巻き込まれ、火災が起きたら
初期消火が非常に重要になってきます。


消火器やトンネル内の消火栓を使って速やかに
消すことです。


もちろん避難のタイミングも失わないように…。

 

 

山火事はどうして消す

 


山火事は、可燃物である樹木が連続しているため、
燃え広がりやすく、消防車が活動するための道路や


消火栓などの消防施設がほとんどなくて、消火のための
条件が非常に悪いところから、広い面積を焼損して


消火活動も数日間にわたることが少なくありません。
そして、風向きや延焼している速度の変化によって、


消防隊員が火に囲まれてしまうなど、非常に大きな
危険が伴います。


さて、それではどんな方法で消火するのでしょうか。
最もいま的なものは消防ヘリコプターによる消火です。


水や消火薬剤を上空から散布します。
火の勢いが上空から判断できることもありまして、


効果的な方法で、他の消防本部や警察・自衛隊などの
ヘリコプターも応援にかけつけて協力しています。


中型のヘリコプターで一度に水なら700ℓが散布できます。

 

地上ではシャベルで土をかけたり、木の枝などで火を
たたいて消したり、水を背負ってきて手動ポンプで


放水したり、釜や電動のこぎりを使って、
下草や樹木など燃えるものを除去して、焼け止まらせる
など昔ながらの方法も使います。


携帯型の消防ポンプが小型化して、これを何台も
連結してふもとから水を送って放水したり、


林道網の発達によりまして林地内に入って消防車で
消火することも行われ、効果をあげています。


また、「迎い火」という方法も用いられます。
これは、火事が大きいとそれに向かって別の火を
放つのです。


火事をもって火事を制するわけです。
効果は非常に大きいのですが、一つ間違えると


火事をますます大きくしてしますため、
適切な判断のいる高等な手段となります。


草木を切り払う方法と迎い火は「やまとたけるのみこと」
の神話にも出てきます、古来の方法です。


ところで、火に囲まれたときの有効な道具が
アメリカで開発されました。


これは、くぼ地に体を伏せ、耐熱シートで覆って
酸素ボンベで呼吸しながら火の通過を待つものです。


そんな高性能のシートがあるのかと驚かされますが
これはかなり危険です。


山火事の消火はたいへんなことが分かってもらえたと
思いますが、原因は登山者・ハイカーなどのたき火


たばこなど人為的なものがほとんですね。


やはり、山火事を出さない、山で火を使うときの
マナーを高めることが大切です!

船火事に水をかけても沈没しないか

 

 


舟の火災のとき一度に大量に放水すると
舟が傾いたり、最悪の場合は舟そのものが
沈んでしましますね。


水面に浮かべたコップに水を加えていくと最後には
沈んでしまうのと同じように、放水した水が


しだいに船内にたまり、舟が沈下、または舟の
区画の一部に水がたまりバランスを崩し、


最後には転覆・沈没してしまいますね。
1988年、大阪港で発生したソ連船「プリアム―リエ号」


の火災でも、放水によりまして船体が
傾斜したため、消火活動を中断しています。


中にまだ人がいる、早く消さなければ、と
気がせきながら、放水すれば船が沈むという
ジレンマに陥ります。


また客船は内部構造が複雑に区画されていて


通路も狭いために、消防隊の活動は困難な上に
非常に危険なのです。


貨物船は深く大きな船倉を持っていて
ここで積み荷が燃えるとやっかいなことになります。


タンカー火災になると輻射熱と毒性ガス、さらに
爆発の危険性もあります。


このように船舶は、消火活動が大変難しい
火災です。


火災の状況や被害状況などを正確に知るのは、
いずれの火災でも消火作戦のうえでも重要な
ことですが、


船の所有会社や関係者からその構造や内部の
状況をきちんとつかむことも大切になります。


そして、消火活動の際には船の傾斜とか
船体が水に浮かんだ時の、水面ぎわの線に


注意して、船がどのくらい沈下しているのかを
確認しながら活動していきます。


また、消防隊が船内に侵入する場合は、
呼吸器はもちろん、場合によっては耐熱の


防火衣などの防護材を確実に装備します。
船内に隊員が何人っており、入ってから何分に


なるかなど隊員の安全管理が非常に重要なことに
なります。


また、外国船の場合、関係者が外国人ばかりなので
言葉の障壁があったり、外交上や法律制度の上の


問題があったり、活動はいっそうややこしく
なりますね。


船から漏れた燃料油による海の汚染を防ぐための
オイルフェンスや処理剤も積載しなければ
なりません。


消防艇をもっている市町村とも応援協定を結んで
災害に備えているわけですよ。

はしご車が届かない……どうする

 


以前の火災の事例になりまして、
あまり知らない方もあるかもしれませんが。


東京・ホテルニュージャパンの火災がテレビで
実況中継されたことがありました。


窓の外のわずかの幅のひさしにのって、炎から
逃れながら助けを待つ人が映り出されていました。


早くはしご車が来ないのかハラハラしたものです。
この建物は、下層階部分が上層階部分より

広くなっていて、はしご車がよりつけなかった
のですが、この人は何とか雨どいを伝って脱出
できました。


はしごが消防活動に利用された歴史は古くて
古代ローマでは、9階建ての共同住宅
ありまして、


世界で初めて、はしごを使用した公設消防の
記録が残っていますね。


日本では、明治36年に東京でドイツ製
はしご車を購入したのが初めてで、


そのはしごは3連で長さが約18m、馬が引きました。


また、アメリカでは1815年はしごを車に積んで
火災現場で使っています。


はしご車が高さについていけないというわけではなく
超高層ビルには、次のような対策が
義務付けられています。

 

①11階以上の階には防火区画の強化

②31m以上の建物には非常用エレベータの設置と
 内装の不燃化

③15階以上の階への特別避難階段の設置

④11階以上の階へのスプリンクラ―の設置
 など消防用設備等の設置強化

 

さらに、こうした防火対策が合理的に設計されるよう
審査指導する防災計画評価制度が設けられていて、


建物自体の施設や設備によって住んでいる人の安全を
守るようになっています。


そして、超高層のホテルやマンションなどには、
外気に面した避難バルコニーを設けるよう


さらに、消防ヘリコプターが救助・消火活動を
行える緊急の離着陸スペースの設置を指導
していますね。


はしご車のトドク範囲では、ホテルニュウジャパン
火災のようにならないように、活動場所の確保や


電線の地中化などの障害をなくすよう
努めていますが、はしご車による救助は
最後の手段になりますね。


はしご車を使わなくても済むように、
安全な建物を作り、これを適切に維持管理する


ことこそが第一になってきますよ!

消火の水はなんの水

消防車が建物の火事に放水しているとしたら
ほとんどが水道の水です。


町の道路の下には、それこそ網の目のように
水道管が埋設されていて、そこから各家庭や


会社の専用の管を引き込み、蛇口へとつながって
います。


消火の水は、この途中の配水管に設けられた
消火栓から吸水しています。


道路の上を見ると、いろいろな形や大きさの
鉄ぶたがありますけれども、だいたい黄色に


塗られているのが消火栓で、地面の下に
太い蛇口のようなものがつけられていると
思ってください。


消火用としては、この他に公園などに設けられている
防火水槽、学校などのプール、池や川の水も使います。


赤と青の地に白字で消防水利とかかれた標識の
付けられているところがそうですよ。


海上で船が燃えたら、消防艇が消火しますが、
このときの水は当然ながら海水です。


いずれにしましても、消防にとって、水は最高の
消火道具です。


なんでかというと、水が他の高温の物体に
接触したとき、非常に多くの熱をその物体から


奪うからです。これは水の比熱が極めて大きいためです。
(比熱とは、ある物質の温度を1℃だけ上昇させるのに


必要な熱量をいいまして、水の比熱は1です)
例えば、木材や紙の比熱はおおよそ0、2ですので


200℃の木材に同じ重さの20℃の水をかけた場合、
比熱の差による影響で、木材とか水が50℃


となって、水の温度上昇が30℃に対して木材は
150℃も下がることになるわけです。


水は蒸発して水蒸気になる際に、多量の熱を
必要とします。


これを気化熱といいまして、水の沸点100℃では
気化熱は1㏄当たり539㎈と、すべての液体の中では
最大です。


こういうように、水は主として比熱と気化熱の
大きさによって冷却作用で火を消すことになります。


水は不燃性があって、いたるところに豊富にあって
安くて、人体に毒性を持たないという、


他に匹敵するものはない優れた消火剤としての
性質もっていますね!


少しややこしい説明になりまして申し訳ありません。

理解できましたか、ちょっと不安です…

消防車が突然サイレンを止めて帰ってしまうのはどうして


 


火災現場に出場中の消防車が、急にサイレンを止めて
Uターンして引き上げていくのを見られたことは
ありませんか。


さて、どうしてでしょうか?


消防車には、無線機が積み込まれていて、消防本部の
指令室や、他の消防車と交信できます。


また、携帯無線機を持っている隊員とも交信する
こともできますね。


火災の通報を受けた指令室では、通報があった場所に
近い消防署・出張所から消防車を出場させ、


最も近くの消防署から出場した消防車は、
だいたい5分程度で到着します。


この先についた消防隊が無線で報告する現場の様子に
よって、指揮者がその火事を消すのに必要な消防隊の


数を判断して、隊を減らしたり増やしたりします。


火事が小さかったり、消えていたりした場合には、
指揮者は必要のない消防車を引きあげさせます。


無線で指令を受けた緊急出場中の消防車は、
サイレンを停止して各消防署・出張所へ引き返し
ます。


その逆の場合もあります。
火事がどんどん燃え広がるり消防隊の数が足りなく


なったときには、次々と消防車を出場させ
消火作業をおこないます。


この場合には、火事が発生しているところに
消防車が集中するわけです。


それでは、消防署が空になってしまい
その近くに別の火災が発生したら、


遠くの消防署から消防車が来るまでに燃え広がって
しまうと思われるでしょう。


でも、ご安心ください。
それをふせぐために、あらかじめ他の消防署から


消防車を一時的に移動させて新たな火事に
備えています。


これを「緊急配備」といいますね。


これは、火事とは違う方向に走って行く消防車も
あるわけです。


こういう様に、いつ、どこで火災が起こっても
すぐに消防車が到着できるようにしているのです。

ガス漏れ! ……119番かガス会社か

 


あなたが町を歩いていてガス漏れにきずいたときは
迷うことなく119番をして、その場所を消防本部に


知らせて、ガス会社にもガス漏れの緊急の報告を
電話連絡してくださいね。


ところで、家の中でガス漏れが発生したら、
どうすればよいでしょうか?


そのときは、通報と同時に、ガスのコックとか
元栓を閉めて、窓やドアなどをあけて


換気を十分に行ってくださいね。
電気をつけたり換気扇を回してはいけません。


小さな電気のスパークによってもガス爆発を起こす
ことがありますからです。


このようにガス爆発の事故は、人命と財産に
大きな損害を与えます。


ガス漏れ事故が発生したら消防署からは、救助隊
救急隊・消火隊などが出場して、万一の事故に備える


とともに、ガス測定器で漏れたガスの濃度などを
測定などをして、爆発のおそれがある場所は


市民の皆さんに「火の使用の制限」などのガス爆発
防止のための広報活動や避難誘導をします。


また、ガス会社は、ガスの遮断とかガス漏れの
復旧作業をします。


もちろん、警察の協力も必要なわけで、関係機関が
お互いに協力しあって、ガス漏れ事故によります


被害を最小限にくい止める体制ができています。
また、市民の家庭で使っているガスには、


都市ガス(天然ガス)・LPG(プロパンガス)とか
カセットボンベに入っている(ブタンエアガス)が


ありますが、それぞれの性状によっても違いが
ありますね。   


部屋の中でガスが漏れたときは、都市ガスは
天井近くに、LPGは床近くにたまりやすく、


漏れでたガスの爆発濃度もガスの種類によって
違いがあることがわかります。


ガスの特性を知ることは、ガス漏れにたいして処置の
第一歩ですので、日ごろからガスに対して関心を


もって接してくださいね。


ガスの便利さと同時に恐ろしさも知っていれば
不注意によってガス漏れ事故は、確実に減少


することになるはずです!

 

 

 

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