消火の水はなんの水
消防車が建物の火事に放水しているとしたら
ほとんどが水道の水です。
町の道路の下には、それこそ網の目のように
水道管が埋設されていて、そこから各家庭や
会社の専用の管を引き込み、蛇口へとつながって
います。
消火の水は、この途中の配水管に設けられた
消火栓から吸水しています。
道路の上を見ると、いろいろな形や大きさの
鉄ぶたがありますけれども、だいたい黄色に
塗られているのが消火栓で、地面の下に
太い蛇口のようなものがつけられていると
思ってください。
消火用としては、この他に公園などに設けられている
防火水槽、学校などのプール、池や川の水も使います。
赤と青の地に白字で消防水利とかかれた標識の
付けられているところがそうですよ。
海上で船が燃えたら、消防艇が消火しますが、
このときの水は当然ながら海水です。
いずれにしましても、消防にとって、水は最高の
消火道具です。
なんでかというと、水が他の高温の物体に
接触したとき、非常に多くの熱をその物体から
奪うからです。これは水の比熱が極めて大きいためです。
(比熱とは、ある物質の温度を1℃だけ上昇させるのに
必要な熱量をいいまして、水の比熱は1です)
例えば、木材や紙の比熱はおおよそ0、2ですので
200℃の木材に同じ重さの20℃の水をかけた場合、
比熱の差による影響で、木材とか水が50℃
となって、水の温度上昇が30℃に対して木材は
150℃も下がることになるわけです。
水は蒸発して水蒸気になる際に、多量の熱を
必要とします。
これを気化熱といいまして、水の沸点100℃では
気化熱は1㏄当たり539㎈と、すべての液体の中では
最大です。
こういうように、水は主として比熱と気化熱の
大きさによって冷却作用で火を消すことになります。
水は不燃性があって、いたるところに豊富にあって
安くて、人体に毒性を持たないという、
他に匹敵するものはない優れた消火剤としての
性質もっていますね!
少しややこしい説明になりまして申し訳ありません。
理解できましたか、ちょっと不安です…